(2001/11/20)イチローがア・リーグMVPに・新人王と2冠は史上2人
米大リーグ、ア・リーグの最優秀選手(MVP)を獲得し会見するマリナーズのイチロー外野手 |
【ニューヨーク20日共同】米大リーグ、ア・リーグの最優秀選手(MVP)が20日発表され、大激戦の末、先に新人王を受賞したマリナーズのイチロー外野手(28)=本名・鈴木一朗=が選出された。日本人選手のMVPは初めて。
新人王とMVPの2冠獲得は1975年のフレッド・リン外野手(レッドソックス)以来、史上2人目の快挙だった。
ア・リーグ14球団の本拠地から選ばれた各2人、計28人の全米野球記者協会(BBWAA)所属メンバーの投票の結果、イチローは1位票11を獲得し、順位得点合計は289点。2位がジェーソン・ジアンビー内野手(アスレチックス)で281点、3位のブレット・ブーン内野手(マリナーズ)は259点と大接戦だった。
イチローは今季、打率3割5分で首位打者、56盗塁で盗塁王の2冠を獲得。さらに242安打で従来のシーズン新人最多安打記録(233安打)を90年ぶりに更新。リードオフマンとしての活躍も目覚ましく、大リーグのシーズン最多勝記録(116勝)に並んだマリナーズの快進撃に大きく貢献した。
8点差の決定は70年の歴史があるMVP選定の中で10番目の僅差(きんさ)だった。
(11/20)イチロー、過去とは「異質」のMVP・快進撃の“リズム”つくる
イチローは過去の最優秀選手(MVP)とは明らかに「異質」だった。大リーグのMVPのイメージから連想されがちな伝統的なホームランバッターではないし、打点を量産する打者でもなかった。打率3割5分はともかく、打点69、本塁打8。リードオフマンぶりは素晴らしかったが、数字で見れば貧弱だ。
米有力スポーツ週刊誌の「スポーツイラストレーテッド」も9月末に「(イチローがMVPを取ったとすれば)投手を除いて20本塁打を打たず、100打点をマークしなかった打者の(ア・リーグ)MVPは1965年のゾイロ・バーサレス(ツインズ)以来になる」と書いた。
遊撃手のバーサレスは65年、1番打者としてツインズのリーグ優勝に貢献した。ゴールドグラブ賞を受賞したように守備もいい。しかし、残した打撃成績は打率2割7分3厘、打点77、本塁打19。今回のイチローと似たような貢献だったが、イチローよりもはるかに打率は劣った。
マリナーズは大リーグのシーズン最多勝記録に並ぶ116勝をマークし、開幕からシーズン終了までア・リーグ西地区の首位を守り通して地区制覇を果たした。「スポーツイラストレーテッド」誌は「マリナーズの快進撃の“リズム”をつくったのがイチローだ」と評価したが、MVP選出の1票を投じる全米野球記者協会(BBWAA)の担当記者も同様の判断を示したと言っていいだろう。
(11/21)米各紙は淡々と報道・イチローのMVPを
【ニューヨーク21日共同】米大リーグ、ア・リーグの最優秀選手(MVP)にイチロー外野手(マリナーズ)が日本人選手として初選出されたことについて、21日付の米各紙は大きな驚きもなく淡々と報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙は「どの国の言葉を話そうとも、スズキがア・リーグで最高だった」との見出しを取り、元広島のソリアーノ(ヤンキース)と2塁ベース上で交わしたユーモラスな会話を紹介。さらにジーター内野手、トーリ監督らヤンキースの面々のイチローへの高評価を伝えた。
USAトゥデー紙はイチローのMVPが日米で通算4度目の受賞だったことに触れ、イチローの「(日本での受賞とは)比較にならない」とのコメントを引用した。